哲学対話で見えたポリアモリーの大切なポイントとは!?

当事者が幸せならばそれでいいじゃないか。

ポリアモリーとは、関係者全員の合意に基づき、多重的な性愛関係やロマンチックな関係を営むライフスタイル、また その関係性のことである。

ポリアモリーを実践している、きのコさんをゲストにお越し頂いて『対話コン ~ポリアモリー×哲学対話~』を開催しました。
哲学対話の手法によってポリアモリーを題材にして探求したらどうなるのでしょう?

はじめに、きのコさんにはお付き合いしている恋人がふたりいます。
複数人と同時に交際するライフスタイルの人をポリアモリーと呼んでいます。きのコさんは自分がポリアモリーだと自認してて、メディアや交流サロンなどの活動と発信をしています。
(逆に今の日本で大多数である1対1の交際をモノガミーと呼びます。)

ポリアモリーを実践する上で欠かせないポイントがあり、それは「関係者の合意」です。
きのコさんは、今日食べたいもの、休みに行きたいとこなど、なんでも、それがどんな些細なことでもまな板の上に出して話し合い決めています。もちろん、新しく好きな人がができたときやお付き合いを始めたいときなど、意見が対立しそうな大きいことも、お互いが納得できるポイントを見つけ出すまで話し合いと相談をするそうです。
その結果、きのコさんの場合は交際関係の3人がお互いに仲良しという状態になっているとのこと。

では、複数の人と交際する中で、誕生日やクリスマスなど記念日をどのように過ごすのか?そして、交際相手に対して優先順位が付かないのか?時間やお金など物理的な制約がある中で、きのコさんはどうやっているのか疑問が出てきました。
きのコさんの場合は、記念日やセレモニー的なことは重要視していない。誕生日に必ず何かしなくてはいけないと感じていない、12月24日も都合が悪いから20日に前もってする感じとのことです。交際相手も記念日を優先していないので、問題は起きないそうです。
そして、相手によって優先順位もつかないそうです。相手によって役割や求めている内容がみんな違っていている。落ち着きたいときに一緒にいる彼氏、行動的な話をしたいときに一緒にいる彼氏、それは、同じ種類で比べられなく、そもそも質が違っている。例えるなら、友達付き合いで、ランチに一緒に行く友達、カラオケに一緒に行く友達、映画に一緒に行く友達のように、目的によって人がそれぞれが違う、それにはどっちが上、どっちが下という優先順位を付けるのは違うとのことです。
ポリアモリーにおいて、優先順位が付くのではなく、求めることによって役割が分担されていて、同時にお互いが共存していることが、欠かせない要素のように思います。記念日の過ごし方を含めて、関係者全員の合意しているからこそ実現できていると思う。

しかし、合意があるとはいえ、複数の人と同時に交際関係を持つことは当たり前ではありません。例えば、浮気や不倫に対する世間のイメージは良くありません。複数の人と付き合うや、性愛関係を持つのがしてはいけないことだとされています。
きのコさんの場合では、学生時代の1クラスのA君が好き、2クラスのB君が好き、サッカー部のC君が好き、という感覚で人を好きになります。私はこのような感覚で好きというならば、同じように感じるし、悪いことという印象はありません。子どもの時に誰かを好きになる感情は同級生同士の話でも似たような感覚はみんな持っていたと思います。
ですが、大人になるにつれて、お付き合いを始めるとなると、子どものピュアな感覚が許されなくなります。そこには、そもそも、複数の人と付き合ってはいけない前提が社会にあります。日本の法律においても重婚は認められていません。お付き合い、夫婦などの名前で関係性が結ばれているならば、そこにはしても良いことと、してはいけないことが存在します。
そのため、ポリアモリーは前提から外れて珍しい恋愛をしている人達という風に好奇の目で見られています。

Q.人は一生涯同じ相手を愛し続けられるのだろうか?
Q.どうして複数の人を好きになってはいけないのか?
Q.どこからが浮気?(ふたりで会う、手を繋ぐ、SEX、心が移る、などなど・・・)
Q.どうして結婚するのか?
Q.なんでお付き合いをしたいの?

これらの問いは人によって答えはみんな違うし、そもそも正解なんてひとつではありません。むしろ正解自体すら存在しないかもしれません。
模範解答がない中で、週刊誌、ニュース、ドラマなどで複数の人と交際することはいけないと報じられて、もし浮気や不倫をしたのなら非難の嵐で、社会的にその人を抹消するまで叩かれます。ひとりだけと交際し一生涯添い遂げることが、あるべき姿だと報じられます。

人間、みんなが同じ価値観を持っているわけではありません。
きのコさんが最終的に目指している状態とは、人とは違う価値観のライフスタイルを過ごしていたとしても「そういう人もいるよね」と流してくれること、批判をするのではなく、温かくほっとかれるようになって欲しい。わざわざポリアモリーという言葉を使って自分のライフスタイルを名乗らなくてもいい、ポリアモリーという言葉が必要ないように、発展的になくなることを目指しているそうです。
哲学対話の活動に置き換えると、自分が当たり前や前提とされていることを疑ったり、問うことを通して、多様性を認め合う、相互に承認し合えるようになる目的が同じだと感じました。

ポリアモリーにも当事者同士で色んな形がありポリアモリーだからといってみんな同じという訳ではありません。
そこで、ポリアモリーに対する共通認識がどうしても必要になります。
きのコさんがポリアモリーにおいて大切だと思っていることは、本人がポリアモリーかどうかを決める(名乗る)もの。
第三者が、これはポリアモリー、あれはポリアモリーではない、この人が真のポリアモリー、あの人は偽のポリアモリー、という風に判断しないことだそうです。当事者同士の関係性によって成り立っているポリアモリーなので、環境や状態、条件によって万人に共通する明確に線が引けない。当事者でないとわからない関係性がそこにあるため、第三者の主観や推測で相手を推し量ってはいけないのです。
なので、当事者間において嘘や隠し事がない、それが担保されていれば、例え、ハーレムだろうと、愛し合っていてハッピーであればいい。つまり、合意が必ずそこにあって、誰も傷付いてない、苦しんでない、泣いていないのであればポリアモリーと言いたいのであれば呼んでいいのです。

「関係者全員の合意があり、誰ひとり不幸せではない!」
これがポリアモリーとしての、一番大切なポイントです。

すごく大切な部分なのでもう一度言います。

「当事者同士がお互いに合意している関係性ならは、それが世間の常識とかけ離れていたとしても、誰ひとり不幸になっていなければ問題がない!」
当事者が幸せならばそれでいいじゃないか!?ということです。

ポリアモリーとして大切なことで紹介しましたが、普段での人間関係において共通することでもあると思います。
相手に対して嘘や隠し事をしない。相手に対して正直であること。自分のしたい欲求に対しても正直であること。相手と向き合い、話し合うことを通して合意できるポイントを見出すこと。それは、世間の常識や当たり前に縛られる必要はなく、だれも悲しむことにならないのなら、第三者が批判することではない。

この点が守られているのならば、呼び名として、お付き合いしていようと、恋人関係であろうと、夫婦であろうと、友達だったとしても、それにはあまり関係はなく、人と人が良い関係性を構築するために大切なことだと思います。

イベントの後半は、参加者が問いてみたいテーマ
「パートナーと対等な関係を作るには何が必要?」で哲学対話をしました。

以下のような意見が出てきました。
・男性と女性で対等な関係になっていない。
・仕事でお金を稼いでくる男性が偉くて、稼ぎが少ない女性とは対等でなくなってくる。
・女性は家事に育児に大変な日々を過ごしていることを理解して欲しい。
・依存する関係だと対等な関係でなくなる。
・お互いに合意や尊重し合えるのが対等。
・何かをした時にそれに見合うエネルギーが返ってくるのが対等。
・対等はお互いに尊敬し合っている状態。
・条件に関係なく人として存在していれば対等である。
・肩書に関係なく対話をしている状態が対等である。
・何でも納得するまで否定しないで話し合えると対等な関係になれる。
・対等ではないのは我慢をしたから。
・女性の立場で金銭的に自立することは今の日本では難しい。
・結婚の制度や契約で女性は対等な関係が守られると思う。
・対等になれるのは結局パートナーの人柄次第。
・対等は万人の上にあるものなのかわからない。
・対等は二人のぶつかり合いで作るようなものだと思う。
・対等はそもそも必要なのか。
・双方の満足感が対等な関係に必要ではないか。
・対等な関係を作るには年収などで相手を判断しないこと。

対等ってなんでしょうね!?

このような感じで「対話コン ~ポリアモリー×哲学対話~」は大盛況のうちに終了しました。
とても楽しかったので、また、ポリアモリー×哲学対話でイベントを開催したいです。
ご参加頂きました皆様、そして、きのコさん、誠にありがとうございました。


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