人は、ある事を評価する時に、自分の利害や希望に沿った方向に考えが歪められたり、対象の目立ちやすい特徴に引きずられて、ほかの特徴についての評価が歪められる現象があります。
これを認知心理学や社会心理学の理論において「認知バイアス」と呼んでいます。
今日は具体的な事例を使って認知バイアスを説明しようと思います。
1.バンドワゴン効果
ある製品・サービスを消費する人が多ければ多いほど、顧客がその製品・サービスによって得る満足・安心感が増加する効果のこと。
例)行列ができる店はおいしい
2.リスキーシフト
一人ひとりでは慎重であっても、何人かで話合うと、より大胆な方向へエスカレートして、より過激な結論になる現象。大きな声につられる現象。
例)赤信号みんなで渡れば怖くない
3.内集団バイアス
自分が所属する集団(内集団)を他の集団よりも高く評価する。
例)あの人は同じ日本人だから、世界で一番勤勉な人だ
4.代表性ヒューリスティクス
自分が典型的だと思うものを判断材料にして、他のものを判断する現象。
例)「MADE IN JAPAN」の商品は良い物だろう
5.保有効果
自分が持っている物に高い価値を感じて手放したくない心理効果。
例)ボールペンやうちわなどのノベルティは、一度貰うとなかなか捨てられない
6.感情バイアス
たとえ相反する証拠があっても、心地よい感覚をもたらす肯定的な感情効果のあることを信じたがる。自分に好ましくない事実を受け入れたがらない。
例)お気に入りの洋服を「似合っていない」と言われても納得しない
7.アンカリング効果
不確かな事態で予測や判断を行わなければならないとき、初期値(アンカー)が判断に影響してしまうという心理的効果のこと。
例)1万円が赤線で消され、7,980円になっている
8.確証バイアス
自分に都合のいい情報だけを集めて、それにより自己の先入観を補強するという現象。反する情報を探そうとしない傾向がある。
例)議論にあたり自分の主張を正当化する情報ばかり集める
9.自己奉仕バイアス
成功の理由は自分にあると思い、失敗の原因は他人や環境だったなど自分が制御できないと考える傾向がある。
例)自動車を運転する人の多くは、自分が平均以上にうまい運転をすると思っている
10.認知的不協和
自身の中で矛盾する二つの認知をした場合に、自分にとって不都合な方の認知を変えようとする、自分を正当化する心理を指す。
例)タバコには発がん性があるけど、毎日吸っても長生きしている人がいる
11.サンク・コスト効果
人が過去の行動において発生したコストが、後の意思決定に影響すること。今やめたらすべて無駄になる。
例)ある事業に500億かけており、あと100億で完成という途中で、もし「完成したとしても赤字になる事業」だと分かっていても続けてしまう
12.フレーミング効果
ある判断を行う場合、説明や質問のされ方によって、その絶対的評価ではなく、自己基準との対比において比較されるため、絶対評価とは異なる判断を導く可能性があるという効果。
例)成功率98%の手術よりも、失敗率2%の説明を恐れる
13.アポフェニア
ランダムな事柄あるいは無意味な情報の中から、規則性や関連性を見出す知覚作用。
例)株の短期投資で過去の規則やパターンと一致する予測を行う
14.バーナム効果
誰にでも該当するような曖昧で一般的なことを、自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまう現象
例)星座占いや血液型診断など、多くの人が共通する「当たり前の特徴」を特定の人に当てはめる
15.ハロー効果
人の目立つ一部の特徴が「良い面」の場合、別もすべて「良い」と思い、「悪い面」の場合、別も「悪い」と思う。
例)履歴書で輝かしい肩書きや高い学歴だから、きっとコミュニケーションスキルも高いだろう
16.総意誤認効果
他人も自分と「同じ考え」や「同じ知識」を持っていると思う現象。
例)自分が良いと思ったものは、みんなも良いと思う
17.後知恵バイアス
物事の結果を知ってから、それが予測可能だったと考える傾向。
例)離婚したのは夫が昔から浮気性からよ
18.ツァイガルニク効果
人間は達成できなかった物事や中断している物事に対し、より強い記憶や印象を持つという心理学的な現象。
例)高校受験には成功したが、大学受験には失敗した
19.ザイアンスの法則
人は、何度も見たり聞いたり、繰り返し接することで、その人物や物への警戒心が薄れ、好意度が増していくという法則
例)テレビやラジオで同じ曲を何度も耳にして好きになる
20.返報性の法則
返報性とは他人から何か恩恵を受けた後、お返しをしなければならない気持ちになる法則。
例)友達からお菓子を何度ももらうと、自分が買ったときにお返しをする
21.スノッブ効果
誰でもが簡単に入手できないほど需要が増し、誰でも簡単に入手できるようになると需要が減少する希少性への現象。
例)限定商品や品切れ商品
22.ヴェブレン効果
ブランド消費に代表されるように、商品の価格が高く、それを手に入れること自体に特別な消費意識・欲求を満たす現象。
例)ブランドバッグ
23.カリギュラ効果
禁止や制限されると、人はかえって禁止された行為に高い価値を感じてしたくなる。
例)浦島太郎が玉手箱を開ける
24.リンゲルマン効果
単独で作業するよりも、集団で作業する方が、一人あたりの作業量が低下する現象。
例)大勢で神輿を担ぐとき
この認知バイアスをなくすというのはとても難しいのかもしれません。なぜなら、意識的に行っているのでなく、無意識に条件反射として反応しているからです。
なので、できる限り正しい判断を行うために、多様な人達とチームを作ることにより視点や判断する数を増やすと認知バイアスを回避することができます。
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