婚活と哲学対話は相性が良い!そう言われると意外に思う方もいるかもしれません。しかし、哲学対話の持つ効果を考えると、この組み合わせが新しい婚活への取り組みとして有効な理由がわかります。
「自己理解」と「他者理解」を深める婚活
哲学対話の効果のひとつは「自己理解」と「他者理解」です。「結婚」という言葉が、かつてないほど多様な意味を持つようになった現代。「幸せな結婚」のカタチもまた、人それぞれ異なるものとなりました。「なぜ婚活したいのか?」その目的を明確にしないまま婚活をしても、うまくいくことは難しいでしょう。まわりがみんな結婚しているから、親から結婚するように言われているから、ひとりで生きていくのが寂しくなったから、現在の恋人とけじめをつけたいから、子どもが欲しいから、人それぞれ理由は異なり、それに応じて婚活での取り組みや理想的な相手も変わります。だからこそ、対話を通じて他者や自分とは異なる考え方に触れ、自分自身と向き合い、過去の行動を振り返ることで、お互いの考えや価値観を理解することが重要です。哲学対話はこれを実現する非常に効果的な方法です。対話では、自分の考えを言葉にする必要があるため、自然と頭を使いながら思考を整理するプロセスが生まれます。こうした中で、自分の長所や短所、思考パターン、そして思い込みを再認識できるのです。
例えば、次のような問いかけをしてみるとよいでしょう。
- 「自分の長所は何だろう?」
- 「自分が大切にしていることは何か?」
- 「これだけは譲れないことは何か?」
- 「結婚してどんな生活を送りたいのか?」
- 「どんな性格の相手が理想なのか?」
- 「過去の成功と失敗についてどう思うのか?」
普段の生活では、こうした振り返りを意識的に行う機会は少ないものです。しかし、対話の中でこれを実践することで、自分の行動を改善したり、成功体験を再現できるようになります。同時に、対話相手もまた自分の考えを整理し、発言します。お互いの話に耳を傾けることで、自分の大切にしていることや相手の価値観を深く理解できるのです。
そして、婚活において、結婚相手やパートナーへの理解は欠かせません。相手に対する理解はもちろんですが、自分自身を理解することも必要です。哲学対話を実践することで、自然と自己理解や他者理解が深まるのです。何より、哲学対話の魅力は、誰でも取り組めるという点にあります。「哲学」と聞くと、どうしても小難しいテーマや哲学者の理論を学ぶことを想像するかもしれませんが、実際はもっと身近です。「愛とは何か?」といった壮大なテーマでなくても、日常の些細な疑問について話し合えばよいのです。たとえば「何度も繰り返して見たい映画とは?」や「好きな季節とその理由」など、身近なテーマから始められます。哲学対話の場では、意見を自由に交換する中で、自然とお互いの距離が縮まり、信頼関係が築かれます。腹を割って話す対話が欠かせません。パートナーとの良い会話ができているでしょうか? 哲学対話は、こうした深い対話を可能にする絶好の手段です。
結婚観を広げるための多様性
結婚相手との年齢差について、どのようにお考えでしょうか。厚生労働省の人口動態統計によりますと、結婚において最も多い年齢差は「夫婦同年齢」であり、年齢差±3歳までが全体の7割以上を占めています。この事実は、多くのカップルが同じ時代背景を共有するパートナーを選んでいることを示唆しています。
令和4年 人口動態統計「上巻 婚姻 第9.14表 初婚夫妻の年齢差別にみた年次別婚姻件数及び百分率」より抜粋
2022年:実数(百分率)
総数:255,895(100.0%)
妻年上4歳以上:14,822(5.8%)
妻年上3歳:7,781(3.0%)
妻年上2歳:12,842(5.0%)
妻年上1歳:26,787(10.5%)
夫妻同年齢:57,049(22.3%)
夫年上1歳:36,326(14.2%)
夫年上2歳:24,454(9.6%)
夫年上3歳:18,477(7.2%)
夫年上4歳:14,082(5.5%)
夫年上5歳:10,687(4.2%)
夫年上6歳:7,888(3.1%)
夫年上7歳以上:24,700(9.7%)
一般的に、年齢が近いほど価値観や考え方が似ている傾向があります。これは、育った環境や教育、共通の流行や社会現象を経験している部分が多いからだと考えられます。結婚生活において、価値観の一致や共有を重要な要素としている人が多く、年齢が近いことはそれを容易にする要因の一つとなるでしょう。
一方で、年齢差婚には、異なる世代の価値観を共有できるという魅力があります。お互いの世代の文化や考え方を知ることで、視野が広がり、新たな発見があるかもしれません。また、年上のパートナーからは人生経験や知識を学ぶことができますし、年下のパートナーからは新しいトレンドや感覚を吸収することができます。
哲学対話において、良い対話をするには、多様性があり、さまざまな属性の人がいる方が良いとされています。これは、哲学対話と婚活の場においても同様です。未婚者だけでなく、既婚者や婚活対象ではない中高生、高齢者、さらにはセクシャルマイノリティの方など、多様な人々が交わることで、より深い対話が生まれます。
なぜなら、未婚者だけの集まりで「結婚生活において大切なものは?」と話し合っても、お互いに結婚経験がないため、議論が空想に偏りがちだからです。現実に即していない話では、有意義な対話になりにくいでしょう。しかし、その場に既婚者がいて、「結婚生活で譲れないものは何か?」といった実体験を交えた話を聞くことで、未婚者は共感を覚えたり、新たな視点を得たりして、視野を広げることができます。そして、婚活対象ではない人とも交流を深めることは可能であり、良い人間関係には、普遍的な共通点があるものです。
また、Z世代、さとり世代、ゆとり世代、ロストジェネレーション世代、バブル世代、団塊世代など、年齢の異なる参加者がいることで、それぞれの時代における結婚観の違いを知ると同時に、昔から現代まで変わらない価値観にも気づくことができます。その結果、価値観が合う年の差カップルが誕生することもあるでしょう。運命のパートナーは必ずしも同世代の中にいるとは限りません。年齢という条件だけで相手を選択肢から外すのではなく、世代ごとの価値観の違いを知ることが、視野を広げ、より多くの可能性を生み出すのです。
違いを受け止め合うための哲学対話
結婚生活は、人生という長い旅路を二人三脚で歩むようなものです。どんなに愛し合って結ばれた夫婦であっても、常に穏やかな道のりが続くとは限りません。子どもの誕生、キャリアアップ、親戚づきあい、転居、病気、親の介護など、さまざまな出来事によって、お互いの生活環境は変化していきます。
そのたびに、お互いの価値観が常に一致するとは限りません。むしろ、意見の衝突や価値観の違いに直面することの方が多いでしょう。そのときに、相手とどのように向き合うかが重要になります。自分とは異なる考えや価値観を「受け入れる」ことは難しいかもしれません。しかし、「受け止める」ことはできます。受け入れられない考えを無理に変えようとすると対立を生むことになりますが、受け止めることができれば、「自分とは異なる考えがある」という状態のまま、相手との関係を維持することができます。そして、受け止めることを続けることで、相互理解も深まっていくでしょう。だからこそ、本当に大切なのは、お互いの価値観や考え方、生き方を理解しようと努めること。そして、自分とは違う価値観を受け止める姿勢を持つことが、何よりも重要なのではないでしょうか。
哲学対話は、相手がどのような価値観を持ち、何を大切にしているのかを知るための有効な手段です。対話を通じてお互いの内面を深く理解し、尊重し合うことで、より豊かな関係性を築くことができるはずです。また、婚活を経て結婚生活を長く続けるために必要な「相手と向き合う姿勢」と「違いを受け止め合う姿勢」を身につけることができる点も、哲学対話との相性が良い理由の一つです。
飾らない自分でいること
婚活の場において、初対面の相手に対して、第一印象を良くするために服装や化粧で着飾ることは、ある意味で礼儀とも言えるでしょう。清潔感があり、自分に似合う服装やメイクは、相手に好印象を与え、その後の会話や関係につながる可能性を高めます。婚活は人生を左右するパートナー探しの場であり、相手との真剣な出会いを求める場でもあります。そのため、相手に敬意を払い、場にふさわしい服装や身だしなみを整えることは、誠実な姿勢を示すことにもつながります。
しかし、過度に着飾ることは、本来の自分とのギャップを生み、かえって相手に違和感を与えてしまう可能性があります。特に初対面では、緊張感が伝わることで相手も委縮し、自由で対等な会話がしにくくなることがあります。また、着飾ることで「良く見せよう」という意識が働き、素の自分を出しにくくなることもあります。例えば、新調したジャケットを着ているものの、仕付け糸を外し忘れているような場合、それは明らかに「良く見せよう」と意識しすぎた結果、普段の自分とは異なる状態になっていると言えるでしょう。さらに、着飾ることが習慣化すると、それを維持しなければならないプレッシャーが生じることもあります。
一方で、カジュアルな服装の方が、お互いにリラックスして話せる場合もあります。あえてカジュアルな服装を選ぶことで、相手との距離が縮まりやすくなるかもしれません。普段のファッションセンスを見ることでもその人の人柄を知れることにつながります。哲学対話では、参加者が緊張せずに対話できる空間づくりが重視されますが、これは婚活においても、相手との親密度を高める上で有効な手段と言えるでしょう。
もちろん、TPOに合わせた服装選びは重要です。しかし、それ以上に大切なのは、飾らない自分でいること。ありのままの自分で相手と向き合うことで、より自然なコミュニケーションが生まれ、お互いの理解も深まるはずです。婚活は、自分自身を偽らず、素の自分で勝負する場でもあるはずです。
婚活疲れとお別れ、哲学対話で楽しい婚活
婚活は、限られた椅子を争う競争のようなものであり、ライバルが多く、すぐに理想の相手を見つけられる人はごくわずかです。多くの人が長期間にわたる活動を余儀なくされ、その過程で何度も「お断り」を経験します。こうした経験が積み重なると、自己肯定感が揺らぎ、自信を失う原因となることもあります。「自分には魅力がないのではないか」「誰からも選ばれないのではないか」といった不安や焦りが募り、婚活自体が辛いものになってしまうことも少なくありません。
哲学対話は、子どもたちの思考力や主体性を育む手法として知られていますが、その本質には「自由になんでも話せることが楽しい」という側面があります。この哲学対話の要素を婚活に取り入れることで、婚活をより楽しく、そして有意義なものにできるのではないでしょうか。
婚活では、異性と一対一で向き合うため、緊張したり、話題を探すことに気を取られて精神的な余裕がなくなることもあります。一方で、哲学対話は複数人で行うため、すべてのリアクションに自分が対応する必要がなく、自然な流れで会話が進みます。さらに、話すテーマが決まっているため、話題探しに悩むこともありません。また、婚活中の悩みや不安を共有できる場にもなり、心理的な負担を軽減する効果も期待できるでしょう。
子どもたちが遊びを通して学ぶように、大人もまた、楽しいことや面白いことには積極的に取り組むものです。婚活が楽しくなければ、長期間続けるのは難しくなります。哲学対話を取り入れることで、婚活そのものを楽しみながら、自己成長につなげることができるのです。
「婚活は辛いもの、楽しくないもの」という固定観念を変え、哲学対話という新たなアプローチを取り入れることで、婚活をより前向きで実りあるものにしてみませんか?
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