対話コンはどのように始まったのか?

1.婚活イベントの常識を超える「対話コン」

世の中には結婚相談所、婚活パーティー、街コン、マッチングアプリなど、出会いや恋愛を目的としたさまざまな方法があります。たとえば、経済産業省の「少子化時代の結婚関連産業の在り方に関する調査研究報告書」によると、国内の結婚相談・結婚情報サービス業の市場規模は500~600億円程度と推測されています。このことから、こうした方法がいかに多くの人々に利用されているかが分かります。

しかし、これらの既存の方法とは一線を画す全く新しい形のイベント「対話コン」が誕生しました。その特徴は、従来の婚活イベントの常識を覆す独自のコンセプトにあります。

対話コンの特徴

  • 未婚者だけでなく既婚者も参加可能
    未婚者だけでなく既婚者も参加できることで、偏った考えにとらわれず、多様な視点を得られるのが特徴です。既婚者の結婚生活のリアルな経験や、場合によっては離婚経験が、対話をより真実味のある深いものにします。
  • 年齢制限なし(小学生から高齢者まで)
    年齢制限を設けないことで、異世代間の価値観や多様な視点に触れることができます。世代間のギャップは、対話を通じて有益な学びや発見を生む要因となります。
  • 普段着で参加、着飾る必要なし
    ドレスコードを廃止し、普段着でリラックスした状態で参加できる環境を整えました。これにより、参加者はありのままの自分でいられるため、自然なコミュニケーションが促進されます。
  • 自己紹介やマッチングを行わない
    通常の婚活イベントでは定番となっている自己紹介やマッチングを敢えて排除。これにより、スペックや表面的な情報ではなく、対話を通じて内面を知ることに重点を置いています。また、自己紹介しないことによって個人情報を守り安心な場を実現しています。
  • テーマを決めてただ「対話」をするだけ
    イベントでは特定のテーマを設定し、そのテーマについて自由に語り合います。これにより、個々の価値観や思考に触れることができます。

なぜ「対話コン」は特別なのか?

これらの形式を通じて、どうして参加者同士が仲良くなり、自分や他者の価値観を深く理解できるのでしょうか?さらに、恋人やパートナーを見つけることができるのでしょうか?結婚や愛について深く考える場としての意義は何なのでしょうか?

これらの疑問に答えるため、「対話コン」が生まれた背景について詳しくご紹介します。

2.哲学対話との出会いとその広がり

私は2012年頃から、「対話」を中心としたファシリテーションやイベント・ワークショップの運営に取り組んできました。こうした活動を通じ、対話が持つ多様な可能性を模索し続けてきました。その中で、2016年に東京大学大学院総合文化研究科の梶谷真司教授を講師としてお招きし、哲学対話を導入した高校の特別講義に関わる機会を得ました。

この特別講義の目的は、哲学対話を通じて生徒たちが自ら問いを立て、深く考えることで主体性や思考力、さらには他者への共感力を育むことにありました。学校側は、この新しい対話形式が生徒たちの多面的な能力を引き出すきっかけになると期待していました。

梶谷さんの指導のもと、生徒たちは普段の授業とは異なる刺激的な学びを体験しました。この過程を間近で見守る中で、私自身も「対話」が持つ新たな可能性に気づき、哲学対話の魅力に深く惹かれるようになりました。この経験が、私の活動をさらに広げる大きな契機となりました。

そして、この活動が広がる中で、2016年5月には青森県の高校から新たに哲学対話のファシリテーターとしての依頼をいただきました。これまでの経験を活かしつつ、新たな環境で対話を促進することが求められました。

3.「哲学対話」と「婚活」の意外な相性

青森県の高校での特別講義後、懇親会の席で梶谷さんから耳にした言葉が私の心に強く響きました。それは、「哲学対話と婚活は相性が良い」という意外な発想でした。一見結びつきそうにない二つの要素が、どのようにして有益な関係になるのか。その理由を聞くうちに、私の中で新たな可能性が広がりました。

哲学対話が婚活に適している理由

  • 価値観や人間性を深く知るための手法
    婚活の場では、相手のスペックなど表面的な条件だけではなく、本来は価値観や人間性を深く理解することが大切なはずです。哲学対話は、問いを立てて考えを深め、相手の内面に触れることを可能にします。この手法が、婚活における本質的なニーズと合致するのではないか。
  • 対話による自然なつながり
    哲学対話では、「愛とは何か」「理想のパートナーとは」といったテーマについて自由に語り合うことで、参加者同士が相手の内面を知り、自然に人間的なつながりを築くことができます。こうしたテーマは婚活の文脈においても特に重要であり、対話を通じて深い絆が生まれる可能性があります。

実例から得た確信

梶谷さんは、上天草の婚活パーティーや駒場祭といった場で哲学対話を試みたことがあると話してくれました。その結果、参加者が楽しみながら深く語り合い、良好な関係を築くきっかけとなったとのことでした。そして、プライベートでも哲学対話を実践し結婚に至った学生がいるとのこと。これらの実例を聞き、私の中で直感的に「これは絶対に面白い!」という確信が生まれました。

このやりとりをきっかけに、私は哲学対話の手法を婚活イベントに取り入れる可能性を真剣に考えるようになりました。従来の婚活イベントにはない、対話を通じた価値観の共有や内面理解の促進という独自の魅力が、「対話コン」のコンセプトを形作る原動力となりました。

4.「対話コン」誕生への道

「この哲学対話×婚活のイベントを私がやってもいいですか?」と梶谷先生に尋ねると、快く「いいよ」との返答をいただきました。こうして「哲学対話」+「合コン(婚活)」から生まれたイベント「対話コン」がスタートしました。

哲学対話を婚活に応用する理由は、自己理解と他者理解を促進する対話の力にあります。自分の価値観や考え方の癖を見直し、相手の考え方に耳を傾けることで、互いに理解を深め合うことができます。このプロセスを通じて、自然と良い関係が生まれるのです。

5.第1回対話コンへの決意

私は対話コンを通じて、「対話する文化」を広めたいと強く思っています。そして、対話コンに参加した皆様が対話を通じて「結婚相手」や「運命のパートナー」が見つかること願っています。どんな困難があっても、この取り組みが良い結果を生むという確信のもと、2016年7月10日、第1回対話コンが開催されました。

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哲学対話の研修や授業・セミナー・ファシリテーター養成講座など幅広くご対応致します。
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◆ 対話のイベント&研修 ◆
*対話コン
今までにない哲学対話の手法を使った合コンのような参加者同士が仲良くなる対話のイベントです。
恋愛や結婚など日頃の興味や関心を持っていることについて話し合う"対話"を体験してみませんか。
マッチングなし。年齢制限なし。既婚者や夫婦での参加可。少人数で楽しくアットホームにやっています。
~毎月10日は対話コンで愛を問おう~
第103回 2025年2月11日(火祝)対話コン〔東京・大久保〕
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第104回 2025年2月21日(金)対話コン 哲学喫茶で晩ごはんを食べる会〔東京・千歳船橋〕
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組織の風通しを良くし従業員のやる気やコミュニケーションを活性化させる研修プログラムです。
学校で実績がある哲学対話の手法を使い、考えること、自分の言葉で話すこと、相手の話をしっかり聞くことといったコミュニケーションスキルが身に付きます。
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はじめに

愛とは何か? 結婚とは何か? 価値観とは何か?
これらの問いは、時代を超えて私たち人間が抱き続ける普遍的なテーマです。
けれども、もしあなたが「万人に共通する答え」を求めているなら、残念ながらここではその答えは見つかりません。なぜなら、愛や結婚、価値観は、私たち一人ひとりが異なる人生の背景や体験、感性を持つ以上、答えが人によって異なるのは自然なことだからです。

しかしながら、「全てが異なる」わけでもありません。
多くの人が共感したり納得したりするような、普遍的な原則や共通点は確かに存在します。それを見つける鍵のひとつが、「対話」です。対話を通じて他者の価値観に触れることで、自分だけでは気づけなかった視点を得ることができます。また、異なる意見と向き合う中で、自分にとって本当に大切なものにたどり着くことができるのです。

2016年から私は、「対話コン」というイベントを始めました。これは、身近なテーマをもとに哲学対話の手法を使い、異性の価値観と向き合う場を提供する試みです。「十人十色」という言葉があるように、多様な価値観や意見に触れ、参加者とともに愛や価値観について深く探求してきました。その中で、ある種の「カタチ」が見え始めたのです。それは正解や不正解を示すものではなく、それぞれが自分にとって大切なものを見つめ直し、向き合った結果としての「カタチ」です。

このブログでは、これまでの対話を通じて得られた気づきや考え方を紹介していきます。それは、あなた自身の価値観や幸せのあり方を見つめ直すヒントになるかもしれません。

ここに訪れたあなたが、このブログの中で何かひとつでも心に響くものを見つけられることを願っています。

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バズったツイートで意識したこと

先日つぶやいた投稿がバズった。
https://twitter.com/denchi_jp/status/991565901618016256

「名画で学ぶJリーグ」というハッシュタグに乗っかって、清水エスパルス遠征というメッセージと共に三保の松原の浮世絵をつぶやいた。

そうしたら、インプレッションが10万弱、エンゲージメントも13,000を超えた。

フォロワーが200人程度の発信力がないユーザとしては、なかなかの投稿になったと思う。

この投稿したときに、どんなことを意識していたのか記そうと思う。

まずは、投稿する方針として、内輪にしかわからない投稿はやめよう。どこかのチームや誰かを批判するような投稿もやめよう。
Jリーグが好きな人になら誰でも楽しめるような投稿がいいと決めていました。
次に、名画を探す。
面白い絵ではなくて誰もが知っているような絵を探していた。
ゴッホ、ピカソ、ルノアール・・・
どれも名画ではあるがJリーグを説明できるような絵ではなかった。
絵を探しているうちに、北斎の浮世絵が浮かんだ。浮世絵、東海道53次、三保の松原だ!
清水のちょっと先に三保の松原があり、富士山世界文化遺産構成資産登録されている。
有名な場所だし、清水に遠征に行ったときはスタジアムから富士山と駿河湾が眺められる。
まさしく浮世絵の通りの光景だ!

それで、できたのがこのツイート。
予想以上に反響があったし、清水以外のサポーターからもリアクションを頂いた。

誰にでもわかりやすいということと、何かを批判しないことが反響につながったと思います。

これからももっとバズるツイートをしていきたいぞ!


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ちゃぶ台を囲んで対話コンを開催してきた

初の古民家で対話コンを開催しました!
椅子が座布団にかわり、空間が和室になり、普段はないちゃぶ台(テーブル)が中心にある。
通常やっているスタイルとは少し違う部分がありましたが、古民家の特徴と融合した対話ができたと思います。

今日のテーマは「どういう相手に魅力を感じるのか?」
まじめに取り組んでいる人、話しててよく考えている人、ルックスがいい人、明るくて元気になる人、プライドを持ってる人、人に優越をつけない人、声が良い人、本音が見える人、自分の言葉を持ってる人、逆境を乗り越えた人、周りの人に感謝できる人、笑顔がいい人、などなど、、、
どれも魅力的に感じる条件が上がりました。

その後、パートナーと価値観が合わない時、相手が向き合って話をしてくれない時など、皆さんの赤裸々な体験談が飛び出しました。似たような境遇に共感につながり、日常では話せないことをみんなで学び合えたと思います。

最近私が開催しているイベントでは自己紹介タイムがありません。お互いに相手を知らないからこそプライベートなことが少しでも話しやすくなっているのでしょう。
自己紹介しないで、ただ対話をしただけでこんなに仲良く話せるのか?それが仲良く楽しめてしまうから対話って凄いと改めて感じます。

古民家で定期的な開催も決まりました。
引き続き男女が一緒に話し合える場を開催していきます。
あなたのご参加をお待ちしております。


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哲学対話とは何か?

改めて、哲学対話とはどういったものなのか?説明します。

哲学対話とは、自分の興味や関心に基づいて問いを立て、その問いについてじっくり考え、考えたことを言葉にして話し、他者の意見を聞きながらさらに思索を深めるプロセスを指します。哲学対話の目的は、過去の哲学者が書いた難解な本を覚えたり、その知識をひけらかしたりすることではありません。むしろ、自分自身の「問い」を持ち、その問いを探求し続ける姿勢と行動そのものが、哲学対話の本質です。

哲学対話を特徴づけるのは、問いを共有し、対話を通じて新たな視点を得る取り組みです。それは答えを導き出すことよりも、「どうしてその問いが重要なのか?」を皆で考えることに価値を置いています。このアプローチは、日常的な出来事から始めることができ、誰にでも実践可能です。

哲学対話の歴史的背景

哲学対話の原型は、アメリカの哲学者マシュー・リップマンが1970年代に提唱した「Philosophy for Children(子どものための哲学)」に由来します。リップマンは当時、コロンビア大学の生徒たちが論理的に考えたり、健全な判断を下したりする能力に欠けていることを憂い、哲学を基盤とした教育プログラムを構築しました。彼の目的は、子どもが幼い頃から抽象的に考える能力を有しているという信念に基づき、教育は推論、探求、判断能力の向上に重点を置くべきであるという確信から生まれました。その狙いは、子どもたちが自分自身で考える力を育み、それを責任感や思いやりをもって活用できるようになることにありました。

リップマンの考案した哲学対話は、単なる知識習得ではなく、思考力を鍛えるためのトレーニングと言えます。子どもたちが「なぜ?」を問い続ける中で、他者の視点を理解し、共感しながら問題を解決する能力を養うことを目指しています。この理念は、テキストや指導書が 40 以上の言語に翻訳され、オーストラリア、イギリス、メキシコなど 60 以上の国で使われています。そして、世界各国の多様な文化の中で独自の展開を見せるようになりました。現在では、子どもたちだけでなく、コミュニティや企業研修など、様々な場面で活用されています。

哲学のイメージを超えて

「哲学」と聞くと、多くの人は次のようなイメージを抱くかもしれません。「実生活では役に立たない」「難しそう」「変わり者がすること」など、少しネガティブな印象を持つ人もいるでしょう。実際、私自身もかつてはそう感じていました。今でも学問としての哲学にはさほど関心がありません。それでも、私は哲学対話に取り組んでいます。

なぜなら、哲学が何千年もの間、多くの文化や社会で学ばれてきた背景にはやはり理由があります。それは、哲学が人間の根源的な問い、「生きるとは何か」「幸福とは何か」「他者とどう共存すべきか」などに取り組む学問だからです。一般的な人がこのような問いに答えることは簡単ではありませんが、問いを持つこと自体が私たちの生活に深みを与えてくれます。そして、この哲学の「本質を探求する姿勢」を日常に応用できる形にしたのが哲学対話です。

哲学対話を実践することで、私たちは論理的な思考力や問題解決能力を養い、多様な価値観を理解する心を育むことができます。また、哲学対話は、正解を求めるのではなく、参加者全員で自由に意見を交換しながら、共に考えを深めてる場です。まるで、友人とカフェで人生について語り合うような、温かい雰囲気の中で、自分自身の考えを問い直し、新たな視点を得ることができます。

問いから広がる世界

哲学対話は「問い」から始まります。しかし、「正義とは何か?」や「愛とは?」といった壮大なテーマである必要はありません。むしろ、私たちの日常に溢れている、ごく当たり前の疑問から始まることも多いのです。

哲学対話の面白いところは、答えが一つに決まっているわけではないということです。多様な意見が飛び交い、それぞれの価値観が尊重されます。たとえば、「朝ごはんに何を食べるべきか?」という問いを考えてみましょう。一見、ささいなテーマのように思えますが、人によって答えはさまざまです。ある人は「白米と味噌汁が健康に良いから」と答えるかもしれませんし、またある人は「パンと牛乳が手軽だから」と答えるでしょう。中には「朝ごはんは食べない」と言う人もいるかもしれません。この問いを深掘りしていくと、「なぜ私はこの料理が好きなんだろう?」「朝の時間をどう過ごしたいのか?」といった個々の価値観やライフスタイルが浮かび上がります。

さらに掘り下げていけば、「そもそも朝ごはんを食べる必要はあるのか?」「一日何回の食事が最適なのか?」というように、私たちの生活や身体、文化の仕組みにまで思考が広がっていくこともあります。このように問いを通じて他者と意見を交わすことで、相手の価値観を理解し、自分自身の考えも深まっていくのです。

哲学対話を通じて、私たちは論理的な思考力やコミュニケーション能力を養い、多様な価値観を受け入れることができるようになります。そして、自分自身と世界との関係性を深く探求することで、より豊かな人生を送ることができるでしょう。

哲学対話がもたらす効果

哲学対話の核となるのは、「考えること」「話すこと」「聞くこと」の3つの要素です。このシンプルな行為の中には、現代の私たちが抱えるコミュニケーションの課題を解決するためのヒントが詰まっています。

近年では、自分の考えをうまく言葉にできなかったり、他者の話を最後まで注意深く聞けなかったりする人がいます。SNSの普及で、短文や即時的な反応が求められる場面が増え、深く考える余地が失われがちです。また、会話の中で相手の意見をさえぎったり、表面的に受け流したりすることも少なくありません。これらは私たちの人間関係や自己表現に影響を及ぼし、誤解や摩擦を生む原因にもなります。

哲学対話では、こうした問題を解決するために、「話し手が安心して意見を最後まで伝えられるルール」と「聞き手が相手の話を注意深く受け止める仕組み」がしっかりと設けられています。具体的には、次のような工夫が含まれています。

  • 話し手への配慮:誰かが話しているときは、途中で口を挟まない、否定しない、自由に何を言ってもよいといったルールを共有します。これにより、話し手は批判を恐れずに自分の意見を安心して述べることができます。
  • 聞き手の役割:ただ黙って聞くのではなく、相手の言葉に耳を傾け、考えや意図を理解しようとする姿勢が求められます。聞き手が「受け止める姿勢」を持つことで、話し手は自己表現の喜びを感じられるのです。
  • 問いによる深掘り:聞き手が適切なタイミングで質問を投げかけることで、話し手は自分の考えをさらに掘り下げ、新しい気づきを得ることができます。

これらの仕組みによって、哲学対話は単なる会話の場ではなく、コミュニケーションの基礎を鍛え直し、人間関係を築くうえで欠かせないスキルを育てる場となります。

哲学対話を通じて、もうひとつ重要な効果が得られます。それは、自己理解と他者理解の促進です。対話の中で自分の意見を言葉にしていく過程では、自分の価値観や思考パターンに改めて気づくことがあります。「自分はなぜこう考えるのか?」「この考え方の背景にはどんな経験があるのか?」といった問いが浮かび上がることで、自分自身を深く知るきっかけになります。

さらに、他者の意見をじっくり聞くことで、「この人は自分とは違う視点を持っているけれど、それにも納得できる部分がある」と気づくことができます。哲学対話の中で意見の違いを認め合いながらも、共通する価値観や考えを見つけることは、互いの理解を深める大きな一歩となります。これにより、他者への共感や信頼感が生まれ、コミュニティや人間関係をより豊かなものにしていきます。

哲学対話の必要性

現代は、AIの発展やグローバル化など、社会が大きく変化している時代です。これまでは、お互いに関わり合うことがなかったようなバックグラウンドが異なる人達とも知り合うことができるようになりました。その結果、私たちは、多様な価値観を持つ人々と共存し、複雑な問題を解決していく必要があります。そんな時代だからこそ、哲学対話では、異なる視点を持つ人々が集まり、自由に意見交換することで、新たなアイデアを生み出し、問題解決の糸口を見つけることができます。

哲学対話の最大の魅力は、誰もが参加できる点です。特別な知識やスキルは必要ありません。大切なのは、自分の考えを率直に語り、相手の意見に耳を傾けることです。哲学対話を通じて、私たちは自分自身の考えを深めるとともに、他者との共感や連帯感を育むことができます。

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